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  • カンッ カラン
    [ 2007-10-16 00:31 ]
  • 柔らかな灯り
    [ 2007-10-15 01:26 ]
  • 泣き方なんて
    [ 2007-10-13 23:34 ]
  • ささやかな優しさ
    [ 2007-10-04 00:36 ]
  • いつものそれより深くまで
    [ 2007-10-02 00:04 ]
  • ひとつの季節
    [ 2007-10-01 00:09 ]
カンッ カラン


宙に浮いた言葉たちは、

なんだかとても心地の良い、

相槌だったのかもしれないね。


いつまでもどこまでも、

地に足の着くことの無い、

そんな人間で在り続けるのも悪くはない。


言ったきみの横顔を、

どうしても忘れることができなくて、

こんなところへ来てしまった。


飲み終えた空き缶へ吸い終えたタバコを入れた。


ジュウッ


カンッ カランッ カランッ カラカラカラカラ


蹴飛ばした空き缶は、

寂しそうに転がってそしてひとりぼっち。


カンッ カランッ カランッ カラカラカラカラ


蹴飛ばされた僕も、

寂しそうに転がってそしてひとりぼっち。


またひとりぼっち。
by can-you-hear-us | 2007-10-16 00:31
柔らかな灯り


その場所にいつまでも留まっていたい。

とても柔らかな灯りに覆われた一角が、

唯一僕の救われる場所だった。

擦り切れたジーンズのポケットから小銭を探り出し、

広げたテノヒラに380円。


ホットコーヒーを続けて3回押した。


或いはとても大袈裟な音を立てながら、

滑り落ちてきたのかもしれない。

しかし僕には、

音ひとつ立てることなく、

柔らかな灯りを柔らかな灯りのままに、

3つのホットコーヒーがそこに無造作に滑り降りてきたように思えた。


とても素敵な月明かりの降り積もる、

とても素敵な夜に、

乾いた音を響かせて、

そのうちのひと缶を僕は開けた。


自販機の灯りの届く末端で、

ふかふかな布団をささやかに敷き、

首まですっぽりくるまりながら、

いつまでもいつまでも

属していたかった。


まぶたが重かろうと、

全く関係のないこと。


破れたジーンズから覗く両膝がとても乾燥していた。
by can-you-hear-us | 2007-10-15 01:26
泣き方なんて


十数年ぶりに泣きたくなったんだ。

誰かの側で、

うつむいて。


なんとなく流れてくるオーディオからの曲が終わり、

どのくらい経ったのだろう。

検討もつかない。


でも、

泣き方なんて憶えちゃいない。

泣き方なんて憶えちゃいない。


恐らく僕は泣かないのだろう。


腰を屈め、自販機の釣銭を手探りしているとき、

押し潰されそうになり、

仕事帰りの車のドアを閉めた瞬間、

漠然とした不安に駆られ、

吐き出したタバコの煙が流れ去り、

明るい月をただただ眺め、

丸くなっていた駐車場の猫が、

とても気だるい欠伸をしても、

恐らく僕は泣かないのだろう。


強い人間になんて、なるんじゃなかった。
by can-you-hear-us | 2007-10-13 23:34
ささやかな優しさ


夕焼けが街全体をオレンジ色へ染める頃、

7年前のどんよりとした6畳間にも、

ささやかな優しさが注ぎ込んでいた。

無精髭の僕の顔も、

恐らくオレンジ色に照らされていた。


何を求めるでもなく、

ただ只管に僕で在り続けたのは、

それが間違っているのだとか正しいのだとか、

そんな小さな問題のみにあらず、

個体としての強さが欲しかったから。


群青に覆われた山裾を、

とても鮮明に覚えてる。


とても鮮明に覚えてる?
by can-you-hear-us | 2007-10-04 00:36
いつものそれより深くまで


3日続いた雨の、ようやく上がった昼下がり。

新しい季節の始まりはいつも突然だ。


僕は、

いつものそれより深くまで吸い込み、

タバコの煙をゆっくりと吐き出した。


例えば7年前だとして、

僕は同じようにゆっくりと遊戯せる。

あたかもそれが当然の行いであるかのように、

僕なりの礼を込め、

懐かしいとも新しいともとれるような、そんな曖昧な感情を確かめるように、

タバコの煙をゆっくりと吐き出したのだろう。


とても長い間、空を眺めていたらしい。
by can-you-hear-us | 2007-10-02 00:04
ひとつの季節


そのようにして、短い夏が去っていった。

「少しだけ待ってくれないか」

行き場もなく、手を伸ばせばようやく届く辺りを浮遊していたタバコの煙は、

一風の風と戯れ、ぐるりと揺れたかと思うと次の瞬間、

何処か遠くへと流れていったんだ。


無機質な、

とても無機質な存在として吐き出されるタバコの煙のように、

ひとつの季節が流れ逝き、


一度はゴミ箱へと放り投げたそれを、

思い直したかのように探し出し、

ひとつの欠伸の後、くたびれたインビテーションを掲げ、

事務的な挨拶でやってきた。


僕は、

とても自然に、

そんな季節を受け入れることができるのだろうか。


ひとつの季節に別れを告げたんだ。
by can-you-hear-us | 2007-10-01 00:09